11月9日、ネットシティ会員の中でも選りすぐりの「クロネコマニア」達が羽田に集結した。
思い返せば昨年の「クロネコミュージアム」来訪で心を奪われ、今年6月の「山内雅喜特別顧問」による講演によって真のクロネコファンになっていった我々がいた。
「何なのだこれは!」「すごいな、クロネコヤマト!」という気持ちが抑えられず、今回の「羽田クロノゲート」来訪とあいなった。
「クロノゲート」という名称は「時の神」を表すクロノスと「門」の意味を持つゲートによるクロネコヤマト独自の造語だ。しかし私にはどうしても、
「クロのゲート」としか読めなかった。なぜなら入場してすぐに我々を出迎えたのは配送車両並みの大きさを誇る「クロ」だったからだ。
こんなのがいれば、車もいらずドローンもいらず、「クロ」に咥えてもらって宅配すればいい、なんて妄想してしまった。
緑の多い周回路を回り、いよいよ心臓部へ突入した我々は更なる驚きに襲われた。
撮影は原則的にNGとの事で残念ながら画像は無いのだが、「クロスベルトソータ」「スパイラルコンベア」「フラットソータ」と呼ばれるコンベアーの上を配送される荷物が我々の想像を超えるスピードで流れていた。しかもその中で配送先別の仕訳も同時に行われていたが、特筆すべきはそこに「人」がいない事だ。全てがオートメーション化されていた。
知識に乏しい我々には「よく間違えないで運べるな」と毒づくのが精一杯なほど、先鋭化された装置群だった。
「クロネコヤマト」の次なる使命を担う場所へ向かう途中に、「集中管理室」なるものを紹介された。「これだけの規模の施設だ。管理する人間も沢山いて、わちゃわちゃしているに違いない」と卑屈な期待をする我々の目に映ったのは、膨大な数のモニター、様々に点滅する電光式コントロールパネル、そしてわずか4名の管理者だけだった。
「クロネコヤマト」は常に我々の想像を超えていく!
次なる驚きは、ややもすると「とまどい」と言ったほうが適切かもしれない。
原則的には見学不可というエリアを特別な計らいにより入場させてもらった。率直な感想は「こんな事もやってるの?」「ヤマトは運送会社だよね?」といった類のものだった。なんとドリップマシンの修理、各種家電の修理、そして医療機器の洗浄などを行う広大なエリアが広がっていた。それらのサービスは恐らく一般的にはほとんど認知されていないものだろう。しかし、なぜそれをやるのかという根源に「お客様や使う人たちの利便性向上を目指す」というものがはっきりと見え、尚且つそのサービスにもれなく「配送、宅配」という「クロネコヤマト」の本業がピッタリと寄り添っているのだった。感心を通り越してもはや空恐ろしいくらいだった。世の中には様々な「事業」が存在するが、本業の対象を自ら創り出していく「クロネコヤマト」に100年企業の真の凄みを感じた瞬間だった。
その後、展示ホールを訪れた我々は、大抵の者が初めて経験する「ピッキング」作業にも触れることが出来た。何より可愛らしいお土産が嬉しかった。展示ホールの壁面には「う~む」と唸る名言が数多く展示されており、「クロネコミュージアム」に通ずるヤマトイズムが色濃く残る素敵な空間だった。
楽しい時間の締めくくりは、美味しい飲み物と食事がふるまわれる懇親会となったが、ここでも「クロネコヤマト」に我々は驚かされることになった。なんと、山内雅喜特別顧問(前取締役会長)の登場であった。
この日も紳士的な山内氏はユーモアに富んだ話術でたちまちその場の空気をより楽しいものに変えてしまった。若々しくエネルギッシュ、それでいて非常に打ち解けやすい山内氏に、我々は今宵もノックアウトされたのであった。実に楽しく実りの多い時間だった。
私は夢を見た。あの大きな「クロ」が背中に山内氏を乗せて、沢山の荷物を咥えて「クロのゲート」へとノシノシ歩いていく姿を。
【レポート記載者 】
創新塾97期生・令和5年度幹事
有限会社共栄車輛サービス 代表取締役 田村俊一